介護
介護職の人間関係に悩んだときの対処法

介護の仕事そのものは嫌いじゃないのに、職場の人間関係がつらくて続けられない。そう感じているなら、まず知っておいてほしいことがあります。それは、あなたが特別こらえ性がないわけではない、ということ。介護労働安定センターの令和5年度 介護労働実態調査では、前の職場を辞めた理由として「職場の人間関係に問題があったため」が34.3%で最多でした(介護労働安定センター)。収入や理念への不満より、人間関係のほうが上に来る。それくらい、この悩みは介護の現場でありふれています。
ただ「よくあること」で済ませても、目の前のしんどさは消えません。大事なのは、何にしんどさを感じているのかを切り分けること。原因がはっきりすれば、辞める前に打てる手と、環境を変えるしかない場面が見えてきます。
まず「誰の・何が」つらいのかを切り分ける
ひとくちに人間関係の悩みといっても、中身はバラバラです。混ざったまま抱えていると、ただ漠然と「もう無理」になってしまう。一度、紙でもスマホのメモでもいいので分けて書き出してみてください。
- 特定の人:先輩のきつい言い方、ベテラン職員のお局的な振る舞い、合わない上司
- チームの動き方:申し送りが回らない、ミスを個人のせいにする、助け合いがない
- 施設の方針:人手不足で常にギスギス、無理なシフト、相談しても変わらない
- 利用者・家族との関係:理不尽なクレーム、暴言、板挟み
書いてみると、「実はAさん一人が原因だった」とか「職場全体の余裕のなさが人をとげとげさせている」とか、輪郭が出てきます。前者なら配置やシフトの工夫で距離を取れる余地がある。後者は、構造の問題なので個人の努力では動かしにくい。ここを取り違えると、対処の方向も間違えます。
価値観の違いか、それとも理不尽か
もう一段、見ておきたい視点があります。それは「ただの価値観の違い」なのか「我慢すべきでない理不尽」なのか、という線引きです。
介護はチームで動く仕事なので、ケアの考え方が人によって違うのは自然なことです。スピード重視の先輩と、声かけを丁寧にしたい自分。どちらも間違いではない。こういう摩擦は、話し合いや経験の積み重ねで折り合える場合があります。
一方で、人格を否定する言葉、無視、明らかに偏ったシフトの押し付け、ミスを大勢の前で晒し上げる——これらは価値観の違いではなく、職場側の問題です。自分の至らなさかも、と抱え込みがちな人ほど、ここを冷静に分けてほしい。あなたが直すべき話と、職場が直すべき話は別ものです。
施設を変える前に、できること
転職を考える前に試せる手も、いくつかあります。原因が「特定の人」や「自分の動き方」に寄っているなら、ここで状況が変わることもある。
第一に、相談先を一人に絞らないこと。直属の先輩がつらい相手なら、その人を飛ばして主任やリーダー、生活相談員に話す。施設長との面談機会があれば、そこで配置の希望を伝える手もあります。法人によっては内部の相談窓口やハラスメント相談ルートが用意されている場合もあるので、就業規則を一度見てみてください。
第二に、異動や担当フロアの変更を打診すること。同じ法人でもユニットや事業所が違えば、空気は驚くほど変わります。「辞めます」より先に「フロアを変えてもらえないか」と相談したほうが、職場も動きやすい。
第三に、自分側の負担を減らす工夫。すべての職員と仲良くなる必要はありません。業務に必要なやりとりは丁寧に、それ以外は適度な距離を保つ。割り切るだけで楽になる人もいます。ただし、これは理不尽を我慢する話ではない。あくまで、変えられる範囲で消耗を減らすための工夫です。
それでも変わらないなら、転職という選択肢
手を尽くしても職場が動かない、あるいは原因が施設の構造そのものにある——そう感じたなら、環境ごと変えるのは逃げではありません。むしろ、合わない場所に居続けて心身を削るほうが、長い目で見て損が大きい。
介護はどこも人手不足、というイメージがあるかもしれません。でも、施設の形態によって人間関係の質はかなり違います。少人数で密に関わるグループホームと、職員数の多い特養。日勤中心で生活リズムを保ちやすいデイサービスと、夜勤のある入所施設。同じ介護でも、人の組み合わさり方も忙しさもまるで別です。今の職場がしんどいからといって、介護そのものを諦める必要はありません。
転職で同じ失敗を繰り返さないためには、求人票に出ない情報——離職率、職員の年齢層、教育体制、現場の雰囲気——をどこまで拾えるかが鍵になります。介護に特化した転職サービスを使うと、担当者がそうした内部事情を把握していることが多く、「人間関係で消耗しにくい職場を優先したい」という条件で絞り込んでもらえます。一人で求人サイトを眺めるより、当たりをつけやすいでしょう。
次の一歩は、小さく動くこと
いきなり辞表を出す必要はありません。やることの順番だけ、整理しておきます。
- しんどさの中身を書き出して、原因を切り分ける
- 価値観の違いか、我慢すべきでない理不尽かを見極める
- 相談・異動など、職場の中でできる手を一度試す
- それでも変わらないなら、施設形態を含めて転職先を比較する
未経験で介護に入ったばかりで悩んでいる人は、続けやすい職場の見極め方をまとめた未経験からの介護転職の現実も参考になるはずです。そして実際に動き出すなら、サービスごとの求人数や得意分野を整理した介護の転職サイト比較で、自分に合いそうな相談先から当たってみてください。
つらさを誰かに言葉にするところから、状況は少しずつ動きます。一人で抱え込まないでください。