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エンジニアの残業がつらいとき、働き方を変えるには

エンジニアの残業がつらいとき、働き方を変えるには

残業がつらいなら、まず「いまの残業が一時的な波なのか、構造的なものなのか」を切り分けてください。リリース前だけ忙しいのと、毎月45時間を超え続けるのとでは、打つ手がまったく違います。前者は乗り切れますが、後者は職場を変えないと終わらないことが多い。判断を間違えると、何年も同じ消耗を繰り返します。

なぜエンジニアの残業は増えるのか

残業が膨らむ背景には、個人の手が遅いといった話より、もっと根深い構造があります。

ひとつは多重下請けです。元請けから二次請け、三次請けへと仕事が下りるたびに、各社が管理コストを抜いていきます。末端に届く頃には予算がやせ細り、人を増やす余裕がない。トラブルが起きても要員を足せず、いまいるメンバーの残業で埋めるしかなくなります(参考)。

次に、受託開発につきものの納期の重さ。納期は契約で決まっていて、遅れれば違約金や信用低下に直結します。だから設計や仕様変更でスケジュールがずれても、後ろ倒しにできない。しわ寄せは現場の残業で吸収されます。

見積もりの甘さも効いてきます。営業や上流が安く短く引き受けた案件は、実装に入った段階でもう破綻している。最初から無理のある工数を、気合いで詰めることになります。いわゆる炎上案件です。

そして慢性的な人手不足。一人欠けても補充が追いつかず、残った人の負荷が上がる。この4つが絡み合うと、誰か一人が頑張っても残業は減りません。

いまの職場でできること

転職の前に、手元でできる対処もあります。効果は限定的ですが、試す価値はあります。

まず、残業時間を記録すること。「なんとなくつらい」を、数字に変えます。月の時間外が何時間か、何が原因で発生したかをメモしておくと、上司への相談材料にも、転職判断の材料にもなります。

次に、タスクの棚卸しと優先順位の交渉。抱えている仕事を全部出して、「これは今週でなくていいのでは」と上長に投げてみる。断られても、少なくとも記録は残ります。

それでも改善しないなら、36協定の上限を確認しておきましょう。通常の36協定で会社が命じられる時間外労働は、原則として月45時間・年360時間までです。特別条項を結んでいても、年720時間、複数月平均80時間以内、単月100時間未満といった上限があり、月45時間を超えてよいのは年6回までと法律で決まっています(厚労省関連の解説)。自分の残業がこの線を越え続けているなら、それは個人の頑張りで片づける話ではありません。

残業が少ない環境をどう見極めるか

ここからが本題です。職場を変えるなら、次は残業の少ないところを選びたい。ただ「残業少なめ」という求人票の言葉ほど当てにならないものはありません。見るべきは構造です。

自社開発か、受託か、SES(客先常駐)か。ざっくり言えば、自社サービスを持つ企業は自分たちのペースで開発できるぶん、外部の納期に振り回されにくい傾向があります。一方で受託やSESは、顧客の都合がそのまま労働時間に跳ね返りやすい。もちろん自社開発でもリリース前は忙しくなりますし、ホワイトな受託企業もあります。あくまで出発点としての目安です。

体制も効きます。チームの人数に対して案件が多すぎないか。オンコール(夜間障害対応)の頻度と手当はどうか。属人化していて「あの人しか触れない」システムが放置されていないか。こうした点は求人票には書かれません。

だからこそ、面接で具体的に聞くしかありません。たとえば、

  • 直近1年の月平均残業時間は、部署単位で何時間ですか
  • 繁忙期と閑散期の差はどのくらいですか
  • 終電後や休日の対応が発生するのは、年に何回くらいですか
  • 前任者が辞めた理由を、差し支えない範囲で教えてください

数字で答えられない、あるいは言葉を濁す場合は、その時点で察するものがあります。逆に「平均20時間、リリース月だけ40時間ほど」と具体的に返ってくる会社は、自社の労働時間を把握できているということです。

転職で変わること、変わりにくいこと

正直に書きます。転職は残業問題の万能薬ではありません。

変わりやすいのは、環境そのものです。多重下請けの末端から、元請けや自社開発に移れば、納期と予算の主導権が自分たちの側に近づきます。受託からSaaS企業へ、といった構造の移動は、残業の天井を実際に下げます。

変わりにくいのは、個人の働き方の癖や、業界全体の繁忙期です。納期前に忙しくなること自体は、どの開発現場でもある程度はついて回ります。また、自分が仕事を抱え込みやすいタイプなら、職場を変えても同じことを繰り返しかねません。環境を変えると同時に、断る・任せるという習慣も持っていく必要があります。

それと、年収と残業はトレードオフになることがあります。残業代込みで成り立っていた手取りが、残業の少ない会社に移ると下がる場合がある。月の固定残業代がいくら含まれているかは、オファー時に必ず確認しておきたいところです。

次の一歩

いますぐ辞表を出す必要はありません。まずは、自分の残業が構造的なものかを見極めることから始めてください。記録を取り、36協定の上限と照らし、それでも変わらないなら、外に目を向ける段階です。

エンジニア向けの転職では、求人票だけでは読み取れない労働環境を、間に入る担当者にどこまで確認してもらえるかが鍵になります。サービスごとに得意な領域や担当者の質は違うので、複数を比べて選ぶのが現実的です。エンジニアの目的別にエージェントを整理したITエンジニアの転職エージェント比較や、職種を問わず使える転職エージェントの選び方を、判断の材料にしてみてください。

残業は、根性で耐えるものではありません。構造を見て、動ける範囲から動く。それだけで、半年後の景色はだいぶ変わります。